先日、周南市でイベントがあった際に、きつねの嫁入りShopのブースに訪れていただいたお客様から「きつねの嫁入りの商標は、その後どうなったのですか?」とのご質問を受けました。この件は、きつねの嫁入りの商標を私どもが2010年に取得し、その後プロジェクトFという団体が商標権を侵害した問題です。同団体は侵害後に商標権そのものが無効であると異議申立を行いましたが、特許庁に却下されています。それを一部のマスコミが曲解して報道しました。
お会いしたお客様にはちゃんと説明し、ご納得されたようでした。すでに時間が風化させているかとも思っていたのですが、ブランドの歴史を正しく知っていただきたく、この度、公にすることにしました。身近な方々は真実を知っているので、この事業にご協力・ご支援していただいておりましたが、通販でも人気を得てきたことから、多くの方々にも正しく情報が伝わり、この商品をご愛顧いただければとの願いです。
きつねの嫁入りの名称について
- 天気雨のことを「きつねの嫁入り」という
- 全国各地に数多くの「狐の嫁入り」伝承、おとぎ話が存在
- ネットで調べる限り古い文献は下記がある。
国立国会図書館蔵書「絵本集艸」内に「狐の嫁入り」タイトル(出版年:江戸時代)
「東三河の狐の嫁入り」白井一二(1930年 昭和5年4月10日発行) - TBSまんが日本昔ばなしで「きつねの嫁入り」放送(昭和61年10月4日)
- 最近ではマンガの「きつねのよめいり」という作品もある(講談社ライバルコミックス全7巻)
- 絵画で有名なものがある(狐の嫁入り図 鈴木其一(きいつ) 1796年~1858年 、狐の嫁入り図 葛飾北斎1760年~1849年)
- 全国にある同様名称の祭り(新潟県阿賀町津川「津川狐の嫁入り行列」、岐阜県飛騨市古川町「飛騨古川きつね火まつり」、群馬県高崎市箕郷「みのわの里のきつねの嫁入り」、山口県宇部市「うべ狐の嫁入り行列」、静岡県沼津あげつち商店街「きつねの嫁入り行列」、三重県四日市市海山道(みやまど)町「狐(きつね)の嫁入り道中」など)がたくさんあります
きつねの嫁入りの商標について
上記のように、きつねの嫁入りという名称はありふれたものであり、一地域固有の伝統行事や祭りの名称ではありません。すでに、平成3年(1991)3月14日に有限会社きりん堂が「狐の嫁入り」30類で商標を出願し、平成8年(1996)6月11日には麒麟山酒造株式会社が「狐の嫁入り」33類で出願し、それぞれ問題なく登録されています。各区分でこの名称を使用するオリジナリティと識別力があると特許庁が認めていることになります。
なお、商標は外観、称呼および観念のうち1つでも類似であれば類似商標とみなされます。音(称呼)が同じであれば、漢字、かな、アルファベットにかかわらず類似商標としてみなされます。上記2社の区分で、例えば「きつねの嫁入り」「狐の嫁入り」「きつねのよめいり」「kitunenoyomeiri」などを勝手に使うことは商標違反になります。
私どもが出願した、いなり寿司等(上記2社とは違う区分)の商品の名前に「きつねの嫁入り」を使い商品化するというアイデアは私どものオリジナルであり、それゆえに商標を出願しました。きつねの顔をモチーフとしたいなり寿司で、いなり寿司の歴史で初めてのデザインです。2009年12月に企画書を作り2010年初頭から地元の一部の方々に紹介しています。
その後、突如として現れたのがプロジェクトF(異議申立人)です。「下松ラーメン」と「きつねの嫁入りいなり寿司」を開発したと2010年8月19日に記者発表し、各種メディアに掲載されました。
後日、私がプロジェクトF代表のN氏と初めて会ったときに、N氏は「きつねの嫁入りいなり寿司は8月19日に記者発表をして、販売は9月に入ってから」とメモを見ながら語られています。私はその時に「きつねの嫁入りいなり寿司の企画を2009年に立て、2010年1月から何人かに紹介している。すでに新潟の会社が他の区分で商標登録をしている。私は7月2日に商標出願をしている」と伝えています。
その時、N氏は「じゃあ、我々より早いね」と答え、「プロジェクトFのいなりの発案者はどなたですか?」との私の質問に対しては「我々のいなり寿司の発案者は私です」と話されました。